
「Storkhouse」は、オーストリア政府観光局より革新賞2014を受賞しました。
Architecture of Terunobu Fujimori




Photo: Philipp Kreidl Tomas Soucek Roland Hagenberg
日本で最も影響力のある建築家であり建築史家である 藤森照信。
木材、葦、藁、炭、銅、粘土、石...自然素材を用いる彼のスタイルには日本古来の文化・歴史が通底しています。そんな彼の作品が『鸛庵』。2009 年から作曲家フランツ・リストの生誕地として知られるオーストリアの小村ライディングで 数人の著名な 日本人建築家によって進めてられてきた『Raiding Project』の最初の具体的建築物です。 『鸛庵』は、茶室のにじり口などの日本様式を取り入れ、芸術作品で ありながら実際に宿泊できる建物。さらに、屋根の上方に本物のコウノトリの巣が設けられ、夏になるとアフリカからやってくるコウノトリといっしょに暮らすことができます。

オーストリア・ブルゲンランド地方にある人口約 860 人のライディング村。ウィーンから車で南 に 1 時間ほど走ったところにある小村だ。周りはブラウフランケシュのぶどう畑が連なる、ワインストー リーや歴史を辿って、ローマ街道へ続く琥珀ロード、第 2 世界大戦後の鉄のカーテンと呼ばれた残像もある。 夏のサマーバケーションには数々の音楽イベントが開催され、世界中の音楽ファンが集う。ハンガリー から、車で 15 分程、コウノトリ飛来エリアに近く、この豊かな自然と歴史が
息づく。 また、作曲家ヨーゼフ・ハイドンも近くで生まれた。
生家の隣に 600 席の モダンなコンサート・ホールが建設されました。 ライディング村は、東西ヨーロッパの中間に位置しています。1683 年まで、 ライディングやウィーンに進攻していたオスマン帝国軍が、ヨーロッパ征服を断念 したのがその地です。またローマ帝国の時代にさかのぼれば、ローマ人も自国を 守るための前哨地をこの地に置いていました。今もライディング村では、かつて ローマとスカンジナビアを結んでいた琥珀の交易路 “アンバー・ロード” の一部を 見ることができます。
この歴史的、地政学的背景のもと、9人の日本人建築家による小さな、多目的住宅の数々は、将来、世界中から訪れる音楽家や芸術家のための宿泊施設の役割を果たすだけでなく、創造するための飛翔の場としてライディング村が人々に受け入れられる実験的プロジェクトでもあります。
ウィーンの南 80kmに位置するライディング村。
Raiding村へようこそ。いらっしゃいませ…。
鸛庵(こうのとりあん)について: 三菱地所アルティアムにて展覧会模様 2014年4月
ドイツ最大のグルメ雑誌 "Feinschmecker"に掲載


作曲家、ピアニストのエドワード・クットロヴァッツ(Eduard Kutrowatz)